トップページ > 知る・楽しむ > もっと知りたい糸のこと > 縫い糸の太さ

知る・楽しむ

縫い糸の太さ

一般に繊維は細いものほど優良であるとされています。縫い糸も細い繊維を用いるほど、よい品質が得られます。太い縫い糸を作る場合でも太い繊維を用いるより、細い繊維を多数合わせて太い縫い糸を作り上げる方が良い縫い糸を得られます。
繊維の太さはその断面の直径で表す方法がありますが、繊維の断面は完全な円形ではないため正確ではありません。そこで、長さと重量の割合で測定した、繊度または番手・番数で表す方法が主流となっています。

繊維の断面

繊度

繊度とは繊維の太さということですが、一般には「長繊維(フィラメント)の太さ」という意味に使われ、繊度の単位として、Tex(テックス)を用います。
「一定の長さに対して重さがいくらあるか(恒長式番手)」を測定して数値を求めます。長さ1,000mで重さ1gのものを1テックス(長さ1,000mで重さ0.1gのものを1デシテックス)としており、数字が大きくなるほど太い糸であることを表します。
主にフィラメント糸の単位として用います。

番手・番数

「番手」「番数」は、「一定の重さに対して、長さがいくらあるか(恒重式番手)」を測定して数値を求めます。重さ1ポンドで長さ840ヤードのものを1番手としており、数字が大きくなるほど細い糸であることを示します。
ただし、フィラメント糸の番数とスパン糸の番数は同じ数字でも、規格が異なるため単純に比較することができません。例えば、フィラメント糸の50番とスパン糸の60番では、フィラメント糸の50番の方が細くなります。

号数

「号数」は、番手・番数では表しにくいもの、または異なった太さの糸を番数で表さなければならないものなどは号数をつけて区別します。号数は下撚り糸の合糸数(糸を何本あわせているか)を表していて、数が大きくなるほど太い糸であることを示します。

用途・目的による太さの使い分け

縫い糸にはいろいろな太さがあります。
基本的に、厚地には太めの縫い糸を、薄地には細めの縫い糸を使いますが、ステッチやしつけのように生地の厚さに関係なく使われる場合もあります。また特に強さを要求される部分だけに、太めの縫い糸を使うこともあります。用途に応じて使い分けましょう。

番手別使用用途と使用針
品種 番手 主な用途
キングポリエステル 100 薄地用 9~11
80
60

普通地用

50 11~14
30 厚地用、ステッチ、皮革用 16~18
20 帆布、厚地用ステッチ 17~19
8 19~24
キングスパン 120 しつけ用 5~8
90 ロック用 9~11
80 薄地用
60 普通地用 11~14
50 14~16
30 厚地用、ステッチ 16~18
20 18~19
8 19~24
シャッペスパン 90 薄地用 7~9
60 普通地用 9~14
30 厚地用 14

各国の糸の太さ表示

日本 JIS規格で、フィラメント糸とスパン糸別に、それぞれの糸のトータル繊度(原糸繊度×合糸数)により該当する太さ表示(“呼び”)が定められています。
★フィラメント糸とスパン糸とでは、”呼び”表示が同じでも実際の糸の太さは異なりますのでご注意ください。
★また、国によって番手表示は異なるので注意ください。
アメリカ等 TEX番手(テックス番手)が用いられています。下記の計算式を参照してください。
西欧、東南アジア等 Tkt. No.(チケット・ナンバー)が広く使用されています。JISの呼びと同様に、トータル繊度によって該当するNo.が定められています。
計算方法
  • TEX番手(フィラメント糸)=原糸繊度(dtex)×合糸数÷10
  • TEX番手(スパン糸)=590.5÷単糸の英式綿番手×合糸数
  • Tkt. No.=30,000÷トータル繊度(dtex)

計算方法