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知る・楽しむ

糸の撚り(より)

糸に必要な強度や独特の風合いを与え、目的の太さの糸にするため、1本から複数本の糸を引きそろえねじり合わせる事を「糸を撚る」と言います。この糸に撚りをかける工程を「撚糸工程」といいます。

下撚り(したより)と上撚り(うわより)

全く撚りのかかっていない一本或いは複数本の糸に最初の撚りをかけることを「下撚り」といいます。
下撚りした糸を2本以上合わせて、下撚りと反対方向に撚りをかけることを「上撚り」といいます。下撚りと反対方向に上撚りをかけることで撚りが安定し、丈夫な糸になるのです。
上撚りをかけず一方方向にだけ撚った状態を「片撚り」といい、まれに縫い糸に片撚りを用いることもあります。
通常、合糸数を書き表す場合は、下撚りの本数を先に、上撚りの本数をあとにして4×3、8×2と書き表し、4本3子(よんほんみこ)、8本2子(はちほんにこ)と呼びます。

撚り方向

上撚りの方向によって、左撚り(Z撚り)と右撚り(S撚り)に分けられます。

撚り方向


手縫糸とミシン糸

文明が発達し、機械的に縫えるミシンが発明されるまでの間、縫製品は全て手縫いで行われてきました。ミシンが発明されてからの縫製品は手縫いとミシン縫いとに分けられ、縫い糸もそれぞれの目的に合わせ、手縫いには手縫糸、ミシン縫いにはミシン糸が使われるようになりました。
手縫糸とミシン糸にもそれぞれたくさんの種類があります。

手縫糸とミシン糸の見分け方は縫い糸にかかっている「(上)撚りの方向の違い」ですので、糸にかかっている撚り(より)の方向を確認します。
通常、手縫糸は右撚り(S撚り)、ミシン糸は左撚り(Z撚り)になっています。

手縫いでもミシン縫いでも縫製をしているうちに縫い糸には自然に撚りがかかります。縫製時に、糸の撚りと逆方向に撚りがかかると縫い糸の撚りが戻り、ミシンでは糸切れや目飛び、手縫いではちりつきやもつれの原因となってしまうため、フジックスでは縫製時に撚りが戻らないように、手縫糸とミシン糸では撚りの方向を変える工夫しています。
ですので手縫いの時には手縫糸、ミシン縫いの時にはミシン糸というように、用途に合った糸を選びましょう。

しかし、ミシン糸を手縫いに使ってはいけないということではありません。手縫いに使用するときは、ミシン糸を短めに切って縫うとちりつきやもつれが起こりにくくなります。

撚り方向2
手縫い糸
(右より)
(Sより)

撚り方向2
ミシン糸
(左より)
(Zより)